ゴーストライターによる文章作成代行【京都・ライティング株式会社】

SOHO・自営業者のための鉄の掟

「家長」という死語をうまく使う女性

2010/10/22

 橋田壽賀子の『渡る世間は鬼ばかり』の最終シリーズがはじまった。

 昨日(10月21日)の放送分を見ていて、ひとつ気になったことがある。

 

 五人姉妹の長女、弥生(長山藍子)が

「『家長』はアナタなんですから、アナタから嫁に強く言ってください!」

 という意味の台詞に、である。

 

 ご存知のように「家長」という制度は、法律上は今は存在しない。

 同時に「家長」という言葉も死語になった。

 

 ところが、である。

 

 女性は都合のいいときに

「家長はアナタなんだから」

 という言い方をする。

 

 女性の立場がすこしでも向上するように、との願いを込めて廃止された家父長制。

 それを女性は逆手にとり、男性に皮肉をいいたいときに、この家長という言葉を使うのだ。なんと、したたかで、おそろしい戦略だろうか。それまで威勢のいい演技をみせていた弥生のダンナ役の前田吟は、その瞬間、顔を引きつらせて困っていた。これはどこの家庭でも、ある一幕ではないだろうか。

 

 うるさい男を黙らせるのには、これ以上の台詞はないであろう。

 

 ちなみに。ある辞書によると

「家長とは、一家の主」とある。

 

 また、ご丁寧にも

「父が亡くなり兄が家長となる」 

 との用例まで載っている。

 

 もうおわかりだろう。

 

 この用例は、間違いである。

 いまどき、こんな使い方はしないからである。

 

 古くはドリフターズの荒井注、そして最近では斎藤紳士というピン芸人が、「THIS IS A PEN」という英語の文を「そんな例文覚えて、どこで使うねん」と芸でバカにしているが、まさにそれが、「父が亡くなり兄が家長となる」という例文である。

 

 そこでおすすめの用例が、ドラマにあるように

「家長はアナタですから、しっかりしてください」である。

 

 国語辞典監修のエラ〜イ大学の先生!

 

 どうか、橋田壽賀子先生に習い、実際に辞書に使われている正しい用例を、日本人に広めるように努力してください。

 

 使われない、実際には使用できない用例を弟子に作らせて、ノーチェックでそのままOKしないように(笑)。

 

 最後に。

 

 家長はアナタなんですから、と言われグウの音も出なくなっているあなた。

「そうか」と納得して、自分の意見を通したいときに

「家長はオレだぞ」とは絶対、言わないように。

 

 妻の猛反発を食らうこと、請け合いです(笑)。


高木伸浩

 



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