『16歳の教科書』,『16歳の教科書2』を読んで
ドラマ「ドラゴン桜」の副読本と銘打たれたこの2冊。
それぞれ
「なぜ学び、なにを学ぶのか」
「勉強と仕事はどこでつながるのか」
をテーマにしていますが、
それに対しての確固とした
答えが載っているわけではありません。
「教科書」というだけあって
まさに16歳の頃、数学や物理なんかの
難しい問題に取り組んでいるときのような
気持ちにさせられました。
オムニバス形式のこの本では、
いろんな著名人がいろんなことをいっていて、
まったく統一性はありません。
あるところでは
「勉強は人生に必要なんだよ」といっていたかと
思えば、あるところでは平気で
「勉強よりも大切なものがある」
といっていたりします。
いっていることがバラバラなら、
それぞれの人の生き方も、性格も、信念の方向性も
バラバラで、
小さい頃から勉強熱心だった人もいれば、
授業をさぼることばかり考えていたという人もいますし、
学校中が知る人気者だった人もいれば、
内気でおとなしい子どもだったという人もいます。
「勉強は~のためにするんだよ。」
「勉強と仕事は~でつながるんだよ。」
という答えを得られると思っていた私は途中混乱しましたが、
読み進めていくうちに、こういったまとまりのない
構成こそがこの本のねらいだったのではないかと思うようになりました。
つまり、社会は多くの人が思うよりずっと
キャパの広いもので、その性格や志向にかかわらず、
自分で道を切り拓いていこうとする人には一定の評価を下すものなんだよ、
というメッセージが込められているような
気がしたのです。
そしてそのための力をつけるためにするのが
「勉強」だというのではないでしょうか。
その意味で言えば、
「勉強をせずにいい点数をとるためにはどうすればいいか」
とか、
「親に怒られずにゲームをする時間を捻出するためには
どうすればいいか」
とかいうのも大きな勉強に含まれるのです。
構成もさることながら、文体も語り口調で
気軽に読むことができます。
16歳の人が読むのにはもちろん、大人が
16歳の頃の勉強の意味を振り返るのにも
いい内容だと思います。
ぜひご一読ください。
★★☆☆☆