文庫本「東京島」を読んで
新潮文庫 桐野夏生著
580円
本のオビには、
「孤島には、31人の男とたった一人の女」とあります。
無人島にそれだけの人間が流れ着いたという設定です。
なに~!
そんなこと、現代に、あるわけないやろ~
と言いながら、そんな状況で起こりうることは
「たった一つ」
だと思うのは、誰しも同じでしょう。
もちろん、みなさんの想像通りのことが起こります(笑)。
起こりますけど、物語は、みなさんの想像どおりに行きませんし、そこが桐野夏生が大作家たる、由縁だと私は思っています。
「このように展開してほしい」と思うところは、読者の要求にきっちり応えておいて、読者の想像力がとぼしくなってきたところで、思いもかけぬ方向に、作家の思惑どおりに、事が運ばれていって、感動させられてしまうのです。
そして、その展開には、一分の無理もなく、
やっぱりそうなるよな~といつも読者を納得させてしまうのが、桐野氏なのです。
今年夏には、映画化が決まっていて
http://tokyo-jima.gaga.ne.jp/
主演は、木村多江。
この女優さんの主演はあまり聞いたことがありませんが、
最近も再放送していたNHKのドラマ「上海タイフーン」でも
いい演技をしていました。
近頃の女優さんにしては、なかなか「みずみずしく」、
木村多江ほど、和装が似合う女優さん、
もなかなかいないのではないでしょうか。
※和装業界から、モデルの依頼はないのでしょうか?
それとも私が知らないだけ?
設定が、設定ですから、
どこまで体当たりの演技をしてくれるのかは見物です。
ぜひ、女優として、一肌脱げるよう(笑)
がんばっていただきたいものですね。
ところで、映画化される小説には2種類あると思います。
「この小説は読んだから、もう映画には行かなくていいだろう」と
「小説読んだけど、映画もぜひ行ってみたい」
という作品です。
この作品はいうまでもなく「後者」
に所属すると私は思います。
桐野作品について、もっと語りたいことは山のようにあるのですが、長くなりすぎるので、今日はこのへんで終わりにしておきます。
★★★☆☆
ノブヒロ