伊坂幸太郎『SOSの猿』を読んで
2010/01/26
まったく別の場所で生きる登場人物たちの世界を
物語後半で「ほんまかいな」というつなげ方で
あっという間につなげてしまう――
期待に違わず、いつもの伊坂ワールドが炸裂しています!
単行本ですが、買って損はないでしょう。
こんなの3年ほど文庫になるまで、待てないのではないでしょうか。
文庫になるまでに、映画化されているような気もします。
主人公は、
エクソシストの青年とシステムエンジニアの2人。
そう知らされてもやっぱり、つながらない気がしませんか?
荒唐無稽な設定にも
かかわらず、妙なリアリティがあるのです。
中央公論が作った本の特設サイトでも明らかにされていますが
http://www.chuko.co.jp/special/sos/
伊坂さんは、システムエンジニアだったそうです。
自分がやっていた職業について書いているからなおさらですよね。
納得...。
主人公のエンジニアは五十嵐真というのですが、彼は信じられないところまで
原因を分析し続けます。
一読者として、いつの間にか
「そうだ、そこが原因だ」
「もっといけ、もっと突き詰めろ
と応援してしまっているから不思議です。
伊坂さんの作品が不思議なのは、
まるで小さい頃に誰もが読んだ
「飛び出す絵本」のような感覚で、1P1Pをめくっていけることでしょうか。
主人公だけでなく、登場人物、一人ひとりの
声、
姿勢、
服装、
などがまるでその場にいるように「浮き上がって」
見えるのは、私だけでしょうか。
飛び出す絵本作家、伊坂幸太郎――
私はそのように、彼を命名します。
ノブヒロ
★★★★☆
※はじめての星4つです。