海堂尊著

医師でありながら、「チーム・バチスタ」をはじめ話題作をつぎつぎに発表しつづける著者。こんなに出していて、ネタはつきないの？って感じで、もう新刊書を買うのは止めておこうか、という人もいると思います。

でも、この本は、読者の期待に十二分に応えています。

海堂ワールドともいえる登場人物同士の、軽妙なトークをもとに

一昨年の「新型インフルエンザ狂想曲」が、なぜ起きたのか、

といった最新の時事問題を、作者一流の想像力で、

医療の面からだけでなく、政治や司法の面からも切り込んでいく痛快さが味わえます。

彼の作品で困るのは、登場人物が、各作品ですこしずつリンクしていること。

楽しいのは楽しいのですが、その度に「本を買わされて」しまうのです（笑）。

いまNHKで放映している彼の原作ドラマ『マドンナ・ヴェルテ』の出来も気になるところですね。

★★★☆☆

高木伸浩