ドラマ『鉄の骨』を見て
NHKドラマの土曜枠は、いま、NHKが一番お金と労力を注いでいるドラマ枠です。毎回、面白い作品が目白押しです。今回は、池井戸潤氏による原作がひじょうに話題になった作品『鉄の骨』です。
テーマは談合。
なに、談合って、建設会社がみなで話し合って、公共工事の高値を維持して落札してわれわれの税金をもぎとっていくやつか、許せん。
たしかに、その通りです。
ですが、このドラマを見ていると、談合というシステムが、一概にそうではないように思えてくるから不思議です。
私があまり、信用していないような言葉(キャッチコピー)があります。
それは「一刀両断」です。
稀代の論客、××氏が、▲▲問題を「一刀両断」。
というように、本のオビや、テレビ欄などに使用されるやつです。
談合を一刀両断すると、
「談合は悪、はい、終わり」
です。
ですが、現実はそうもいきません。
談合は、悪い。だが、建設会社はつぶれる、さらに下請け企業はつぶれる。一体どうしていけばいいんだ、というのが現実です。
それに日本には、聖徳太子のような時代から「和をもって貴しとなす」という文化が千数百年に醸成されています。建設会社がみんななかよく、という意識をもつのは、日本人として、当然ともいえます。
テレビにでている評論家などがさまざまな問題を「一刀両断」しているのは、99%、現場をしらないからだと私は思っています。
「談合が悪」
「犯罪は悪」
「ひきこもりは悪」
「離婚は悪」
「差別は悪」
「捕鯨は悪」...。
考えてみると、こういうふうに、なんでも一刀両断して、悪と決めつけている人って、なぜかキイーってしていて、あまり魅力がありません。それよりも偏屈って気がしてしまうのは、私だけでしょうか。
どんな問題も、一刀両断はできません。
グレーゾーン、が必ず、あります。
グレーゾーンは、現場にいかなくては、わかりません。
そのグレーゾーンを知らずして、
生半可な評論家は、
モノを語るべきではないでしょう!
そんな思いを抱かせてくれる重厚な作品です。
番組HPも充実しています。
http://www.nhk.or.jp/nagoya/tekotsu/
★★★☆☆
ノブヒロ
真屋建設. 長岡昇(志賀廣太郎):真屋建設営業部長。
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